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修学旅行を作る旅行会社の学校(教育旅行)営業の業務について解説

教育旅行担当の営業は特に修学旅行の獲得を目指して学校へセールス活動を行います。

「修学旅行」という言葉を聞いて、皆さんの頭の中にも様々な思い出が蘇ってくるのではないでしょうか。
日本人であればほとんどの方が小中高と3回の修学旅行を経験しており、
「修学旅行でどこへ行ったか」というのはどの世代の方と話しても共通の話題になります。

皆さんの中には修学旅行の時に出会った旅行会社の人に憧れて旅行業界を目指す、という人もいるのではないでしょうか?

学校には修学旅行の他にも遠足、甲子園をはじめとする部活動の合宿や大会、校長会、PTA関連イベント、職員旅行など多くの需要があります。修学旅行と同時並行でそれらの需要も狙っています。

今回はその営業マンが何をしているのかという、旅行会社の学校営業の仕事について解説します!

教育旅行営業の業務

まず初めに、支店内で教育旅行の担当になると自らに「担当校」が割り振られます。
これは「公立か私立か」や「エリア(市町村)」で分ける場合が多いです。

日常業務は基本的に先生との打合せ、打合せで出てきた質問事項を宿などの関係機関に確認、訪問箇所の予約、企画書の作成という業務の合間に学校を訪問していきます。

打ち合わせのためのアポが取れるのはほぼ放課後のみとなります。
まれに授業のない空き時間や昼休みを空けてくれる場合もありますが、基本的には早くても16:30です。そのため、移動時間を考えると打ち合わせを終えた時点で既に残業の時間に入っており、支店に戻った時には既に残業1時間を超えているなんてこともあります。

学校への営業は事務室に挨拶さえすれば職員室への出入りは自由な学校が多いです。
職員室へはまずは「〇〇観光です!失礼します!」と言って入室し、教頭先生や教務主任など、上の立場にいる先生方へ必ず挨拶します。

校長先生は校長室にいるため、余程用事がない限りは話す機会はありません。
担当になった時の挨拶と、入札のプレゼンの時に顔を合わせるくらいです。

教頭先生らへの挨拶を済ませたら職員室内の先生の机へ名刺を配布していきます。
それと同時に机上の資料や先生との雑談で情報収集を行ったり、顔を名前、人柄を覚えてもらいます。
修学旅行の業者選定には校長、教頭、教務主任、学年主任などの管理職の意見が大きく関わります。
そのため、学年主任の座席と顔と名前は必ず覚えておくようにします。

学校営業では「営業マンの人柄」が最も重要なポイントです
また、「学校に頻繁に顔を出す」こと、つまり「フットワークの軽さ」も大きな強みになります。
頼み事や質問をしたいけど旅行会社は忙しいという印象から電話をするのが申し訳ないと思う先生がいるようです。
「若さ」も強みになります。若い人が成長していくのを見るのが好きな先生は少なくありません。

そのため、その学校の入札で連戦連勝を飾ってきた大ベテランが、フットワークが軽く、生き生きとしたフレッシュでやる気に満ち溢れた新入社員にコロッと負けてしまうことも実際にあります。

最初は緊張しますが、先生の顔と名前や人柄、好きなものなどを覚えていくとだんだん学校を訪問するのが楽しくなっていきますよ!

修学旅行の業者決めの方法と催行までの流れ

3年生の時に修学旅行を催行する中学校では、1年生の時に業者が決まります。
よって、管理職の先生と1学年の先生で業者を決めていきます。
2年生の時に催行する高校ではまだ生徒の入学前に業者を決めることとなります。
よって、まだ学年の先生のメンバーも決まっていないため、管理職の先生で業者を決めていきます。

①条件書の提示

まず学校から、修学旅行の企画作成にあたっての条件をまとめた書類が届きます。
各社の担当を集め、その場で条件書を配布し、説明、質疑応答を受ける説明会をする学校もあります。
条件書には修学旅行における学校の想い、日程、宿条件、交通手段の条件、全体費用の条件、
観光や体験学習の条件、企画書の必要部数、提出締め切り日、プレゼンの有無と日時などが書かれています。

②企画書提出

条件書の内容に沿って行程表、見積もり収益検討表を作成していきます。
まず社内の仕入部門に問い合わせて宿を提供してもらいます。
また、作成した行程表を基に、バス会社から料金の見積もりを取ります。
こうして集まった資料を基に行程表、見積もりを完成させ、一定の収益が出るように上司のアドバイスを基に企画料金や宿泊料金などを調整し、OKが出れば提出となります。
提出の際には宿泊施設の修学旅行用のパンフレットや旅行保険の冊子、「安全面や個人情報の取扱について徹底しています」というPRのための資料を同封し、
1つのファイルにまとめて提出します。

業者選定のポイントには以下があげられます。

  1. 営業マンの人柄とフットワーク
  2. 宿が学校の希望に合っているか
  3. 行程に無駄がなくハードすぎないか
  4. 安全性
  5. その学校に合った企画内容か

5の「その学校に合った企画内容か」というのは特に高校において、
「進学校なら学習要素を多くする」「そうでない学校は遊び要素を入れる、自由行動を多くしすぎず行動範囲を限定できて生徒の管理がしやすくする」「女子校や女子が多い学校なら歩く距離は短く、沖縄のガマは避ける」などがあります。
実際、関西エリアへの修学旅行では進学校は京都で自由行動があり、ほとんど京都奈良で過ごし、大阪は大阪城や道頓堀、あべのハルカスや、遊びでも海遊館に行く程度なのに対し、そうでない学校はUSJで1日過ごさせます。

③プレゼンテーション

企画書を用いて、その内容の説明を行うプレゼンテーションがあります。
プレゼンテーションを行わない学校や、プレゼンテーションのその場で企画書を提出する学校、事前に企画書を提出し、先生が予め目を通して各業者の料金や内容面を一覧表にまとめる学校など様々です。
割合としては3:1:6くらいでした。営業マンによってパワーポイントを使用したり、上司を同行させたり、逆に若い社員を同行させたり、仕入部門の社員を同行させて宿の説明をさせるなどやり方もいろいろです。

④業者決定・契約・旅行積立の申込

電話やFAX、郵便など様々な方法で入札結果が知らされます。
契約となった場合には早めに担当の先生とアポを取り、契約書を交わし、旅行積立の契約も行います。
負けた場合には契約となった業者を聞き、その勝因も聞いておきます。

⑤打ち合わせ

先生からの質問に答え、またこちらから学校側に決めて欲しいことがある場合にはお願いしたりします。
出発の1週間前頃には営業マンと学年の先生など同行する先生と校長先生、教頭先生全員が集まる最終打ち合わせが行われ、全体スケジュールの確認とアレルギーや怪我、病気などの気になる生徒の情報共有を行います。

⑥旅行代金の収受

国内であれば出発の3週間前からキャンセル料がかかるため、3週間前時点で人数を確定し、
この時点でもらうべき金額を学校から振り込んでもらうこととなります。
(旅行積立を行っている場合は先生の代金のみ)以降のキャンセルについては帰着後の精算時に整理してキャンセル料を差し引いて後日返金という形で対応します。

⑦催行(添乗)

基本的に担当営業マンと派遣添乗員数名で添乗業務を行います。
担当校の日程が重なっている場合には他の営業マンに代打を頼んだり、派遣添乗員のみで添乗業務を行うことも少なくありません。
また、小学校のように人数が少なく、利益が少ない場合、他校との打ち合わせ等もあって忙しい時期には他校と日程が重なっていなくても添乗せず、派遣添乗員に任せる場合もあります。

「添乗金」と呼ばれる会社のお金を携帯し、そこから現金での支払いが必要な観光地での支払い、添乗日当や食事手当の支出をします。宿泊施設や観光施設への支払いはたいてい「クーポン」と呼ばれる現金代わりの紙を用いて支払います。添乗時の持ち物には上記2つの他文房具類やメガホン、旗、封筒、印鑑、FAX送信用のコピー用紙、領収証などがあります。

⑧精算(振り返り)

返金や追加徴収などを書類を用いて整理します。出発の3週間前を切ってからのキャンセル等の場合などに返金が生じます。また、生徒が旅行中のに体調不良で病院にかかり、添乗金から診察代を支出した場合などには後日追加徴収となります。

修学旅行帰着後すぐの先生からはホヤホヤな感想を聞くチャンスです!自身の企画内容、当日の添乗、全体を通してのよかった点や改善点をヒアリングして次回の企画に活かしましょう!

教育旅行営業のやりがい

①自分の思いが伝わって契約を獲得

先生方と仲良くなって職員室で楽しくお話しすることを楽しめるのもいいですが、やりがいはやはり契約を取れた時です。
地道に訪問を重ね、その学校のことを知り、先生のことを知り、自分を知ってもらい、その学校にあった企画を作成し、獲得できた時の喜びは計り知れません。

②生徒たちの楽しい笑顔が見られる

苦しんで契約を獲得し、先生と打ち合わせを重ね、やっと辿り着いた旅行当日、生徒たちが楽しんでいる姿を見るとそれまでの苦労なんて吹っ飛んで行きます。そして、「また頑張ろう」という新たなモチベーションになります。間違いなく人の笑顔を生む仕事です。

④自分の部活経験を活かせる

例えば、野球部出身なら、野球部の強い高校に営業して一度は甲子園添乗をしてみたいと一度は思うでしょう。担当した学校に強豪校があればチャンスがあるかもしれません。

その他の部活でも、自分が経験した部活を担当した先生に売り込んで大会の時の遠征の仕事や合宿の仕事をもらうことができるかもしれません。さらに、その先生が修学旅行の業者選定にも権限を持っていれば少し強気に、自信を持って気楽に入札を戦えるでしょう。

教育旅行営業の大変なところ

①残業が多くなる

日常業務のところでも書きましたが、学校での打ち合わせを終えて支店に帰着する時点で既に定時を1時間過ぎている…なんてこともあります。それから打ち合わせ内容に応じて事務作業を行って帰宅、となります。春や秋のシーズン中には休日出勤もしなければ追いつかない状況になります。「アフター6」とは無縁の仕事になります。

②優先順位をつける難しさ

基本的に打ち合わせや企画書作成は複数校を同時に抱えることになります。
各学校で打ち合わせた内容や受けた質問を整理すること、企画書作成の提出期限をカレンダー等にメモするなどで整理し、優先順位を常に考えながら業務を行っていくことになります。複数の打ち合わせを進めながら複数校の企画書作成を進めなければならないことも普通です。同じような作業だけれども、数が多いというのが特徴です。「業務を整理し、優先順位をつける力」がないと「先生からの質問を忘れた」「企画書提出を忘れた」といったことになってしまいます。

③上司も忙しく質問しづらい

先輩上司も同じくらい担当校を抱えていて忙しいので、質問してもタイミングが悪いと満足のいく回答が得られず、仕事が進まなくなってしまうことがあります。予め「今日の〇時頃から企画書作成をしますので、わからないことがあった時に質問させてください!」と宣言しておいたり、先輩のスケジュールを確認しておくなど様々な工夫が必要になります。

まとめ 仕事量が多くやりがいが大きい

法人営業と比べると仕事の幅は狭くなりますが、担当校が決まっており、公立校の場合年に1回必ず入札があるので(3年ごとという地域もあります)、仕事を獲得するまでが長く険しい法人営業と比べれば営業面で苦労することは少ないです。一方、毎年入札があるということは、法人と違って固定客化ができないという難点があります。「いい宿をもらえて年1回の商戦を戦えば仕事が取れてしまうなんてやりがいがない。それより苦労して獲得した顧客からいくら利益を取れるかで勝負する方が面白い。」という教育旅行営業未経験の法人営業担当者もいますが、私の周りにいる教育、法人両方の営業経験がある人たちは口を揃えて「教育旅行営業の方が楽しくてやりがいがある」と言います。

教育旅行営業は先生方と楽しくおしゃべりするのが好きで、宿や京都奈良、沖縄の観光地について勉強するのが苦手でなく、業務を優先順位をつけて整理しながら進める力があれば、きっと活躍できるフィールドです。

旅行業界を目指す皆さんには、子供達や先生方、観光地で迎えてくださる多くの人々を笑顔にできるこのお仕事を是非とも経験してみていただきたいと思っています!

 

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