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ふかわりょう作「スマホを置いて旅したら」旅の本当の魅力が見つかる!?

ほとんどの人がスマホを手にするようになってから、窮屈さやストレスを感じるようになっていませんか?

・友達がSNSに投稿した内容に傷つき、嫉妬してしまう
・調べればわかることはは自分で調べるべきという風潮
・常に続いているメッセージのやり取り
・いつ電話がかかってくるかわからないというプレッシャー
・SNSに出てくる過激な投稿や広告

友人関係や仕事での関係を作る際にも切り離すことができなくなったスマホとの付き合い。

スマホを「使っている」はずだったのに、スマホに「縛られる」ようになってしまったのはいつからでしょうか。

多くの人と繋がりやすくなったのに、人との会話は減り、
様々なことが素早く簡単にできるようになったのに、前より忙しくなり、
動画や音楽を気軽に楽しめるようになって娯楽の幅が広がったのに、ストレスは増えている

私自身、常にスマホを持ち歩き、暇な時になんとなく画面を見てしまうことはあります。
仕事用とプライベート用の2台持ちが当たり前になり、出勤前や帰宅後、休日にも仕事の電話やメールが来ていないか、気になってしまいます。
1人1台携帯電話を持つことが当たり前になる前は、仕事以外の時間に仕事の連絡が来ることを気にするなんてことはなかったのでしょう。(私が大学を卒業して就職した時にはすでに多くの社会人が仕事用とプライベート用の携帯電話もしくはスマホの2台持ちでした)

しかし、ある本を読んでからはその習慣を改めるようになりました。

その本とは、タレントのふかわりょうさんが書いた「スマホを置いて旅したら」です。

この記事では、「スマホを置いて旅したら」が提起している問題に触れつつ、「旅とスマホの関係」「人間とスマホの関係」についてまとめました。

※この記事はあくまでもこの本を読んで私がスマホと旅について考察したものであり、作者であるふかわさんの意見、主張とは一切関係ありません。

「スマホを置いて旅したら」

この本には、ふかわさんがスマホを置いて旅に出ようと思ったきっかけ、旅のスケジュールや各所での様々な出会いやエピソードが綴られています。

現在、ネットで調べれば「地元民が教える〇〇観光におすすめのスポット△選」のような記事はたくさん出てきます。観光案内所やタクシードライバーからおすすめのグルメやスポットを聞いて旅を進めていく姿は、本当の意味で「地元の人おすすめ」の場所を巡っていることになるでしょう。なんていったって、地元の方の生の声を聞いているわけですから。飲食店での地元の方とのふれあい、出会いもスマホで事前にお店や行きたい観光スポットを調べ、現地でも地元の人に聞くのではなく移動手段から何から調べていってしまうとおそらくなかったと思います。

スマホを置いて旅をしたことによって生まれた出会い、感動、そして帰ってきてスマホを手にし、電源を入れる際のリアルな心情からは、ふかわさんが何かを強く訴えているわけではないにもかかわらず、スマホとともに生きる私たちがその付き合い方をついつい考え、見直してみたくなるような気持ちに襲われます。

旅の目的地の1つである美濃市

旅とスマホの関係

旅行の際にもスマホは大きく役立つ一方で、旅の感動が薄くなり、出会いが少なくなり、思い出が少なくなる要因になっているのではないでしょうか。

・ネットで事前にプランニングし、当日はその通りに行くだけ
・旅先でも交通手段や飲食店、お土産店、観光スポットを常に検索
・写真を撮るのに夢中で食べ物の味や景色、その場所に関する知識や情報を頭では覚えていない

スマホが奪った“出会い”

スマホがない頃は旅行会社の人や現地の方を頼って旅をしたものです。
そこで現地の方々と交流することで思わぬ出会いがあったり、今でもネットでは見つからないような情報が手に入ることもあり、その土地の人との出会いが旅に豊かさをもたらしていました。観光地や飲食店、宿などで観光客同士の交流などもあったと思います。
電車を逃して長時間待ったり、道に迷ったり、事前に行こうと思っていたお店が定休日だったなどというのは失敗経験ではありますが、旅の思い出として強く印象に残るはずです。トラブルなく何事も計画通りにスムーズに進旅に、どれだけ思い出が残るでしょうか。

ここまでは、まだ「旅の楽しみ方は人それぞれだからいいんじゃない?」という言葉で済まされそうなのです。しかし、スマホを手にしたことで、どこへ行っても写真を撮ることが目的になってしまっている点は、非常に残念な問題ではないでしょうか。
とにかくキレイな写真を撮ってSNSに投稿することが目的になってしまっているので、被写体に関心が向かなくなっています。

お店や観光スポットに入るにも、失敗したくない思いから事前に調べていくことが多くなりました。誰が書いたのか、本当に訪れたのかもわからないレビューに左右されています。そうして計画され、作られた出会いで旅が構成されているのです。行き当たりばったりや偶然の出会いにこそ旅の面白さや醍醐味が詰まっているとも考えられるのではないでしょうか。

スマホが奪った“感動”

温かいお料理なのに写真を撮ることにこだわって冷めてしまう、せっかく現地の名物グルメを味わったのに味を覚えていない、景色を見に行っても写真を撮るだけでほとんど景色を見ずに帰ってしまうため景色が目に焼き付いていない、旅行をしても旅先についてほとんど知らぬまま帰ってきてしまう。

これでは旅の感動も何もあったものではありません。

スポーツ観戦に行っても、感動的な瞬間を動画や写真に収めることに気を取られている人が多いように見えます。せっかく生で観戦に行っているのに、わざわざ画面越しに見てしまうんですね。生でしか味わえない感動を味わう機会を逃してしまっているように思います。せっかく生観戦するなら、感動の光景をカメラではなく目に焼き付けておきたいですよね。

私たちはスマホにどう向き合うべきか

スマホが普及してからというもの、私たちは「リードに繋がれた犬」あるいは「糸で操られている凧」になってしまったのではないでしょうか。作中でも、スマホを持たずに旅をするふかわさんのことを「糸の切れた凧」と表現したとあるホテルのスタッフが書かれており、ふかわさんはその男性について「彼の中に、スマホに縛られている印象があったからこそ(そんな表現が)反射的に出てきたのでは」と推察しています。

スマホの普及によって、平日と休日の境目や仕事とプライベートの境目が曖昧になってしまいました。私たちがすべきことは、まずそのはっきりとした境目を取り戻すこと、そして画面の奥ではなく、自分の五感で直接感じることができる世界に気を向けて寄り添うことではないでしょうか。

仕事のことは業務時間中だけ考える

まずは出勤前と退勤後、休日には仕事のメールを見ない、電話にも出ないことを徹底します。

私は以前に勤めていた会社で、退勤後に仕事用スマホに支店長から着信があったのに気づかずに翌朝を迎え、「(電話に出ないなんて)何のためにスマホを貸与していると思っているんだ」と叱責を受けたことがあります。
ですが、「業務時間中に社外にいても連絡を取るため」がスマホ貸与の目的だと思っているため全く気にしませんでした。今でも私は間違っていないと思っています。

業務時間以外にも仕事の電話やメールを気にしているとそれだけで落ち着きませんよね。
私たちは会社の犬ではありませんから、せめて業務時間以外は仕事と自分を繋ぐリードを自ら断ち切りましょう。

画面の奥の世界に囚われない

五感で味わうことができ、自分の身近にあるものにもっと目を向けてみるようにしましょう。
スマホを手放してみることで、五感がより研ぎ澄まされるような感覚を味わうことができるはずです。

スケジュールに囚われずにゆっくりと周囲の景色を楽しみながら歩いていると新たな発見があります。車窓からの風景を見ながらぼーっとしている時に何かをひらめいたなんて経験がある人もいるのでは?写真を撮ってSNSにあげるのもいいですが、景色は自分の目にしっかりと焼き付けて、自分だけの大切な感動、思い出にするのもいいと思います。

私たちは普段、車や電車など様々な音に囲まれて生活していますが、その土地ならではの音というのも存在します。作中にもこのような“音”が登場します。私は過去に友達と夕日スポットに出かけた際、その場所があまりに静かだったことから「無音っていいね」と友達に言われたことがあります。たしかに、今や“無音”は貴重です。海だったので時折かもめの鳴き声は聞こえましたが、スマホから離れてみるとより多くの“音”を感じることができるかもしれません。

写真を撮ることを一切せず、食べ物に集中すれば、できたての状態でお料理を味わうことができます。食べ物や飲み物の香りも楽しみながら、じっくりと味を感じることができるでしょう。

記録に残したいがために、記憶に残らないのではもったいないと思いませんか。
旅先では五感をフルに活用して、その時にしか味わえない感動をじっくりと味わいたいものです。

SNSは自己顕示欲に溢れた世界です。そこに写真をアップし、いいねをもらうことであなたは本当に幸せになっていますか?SNSをやる意味や目的も考え直してみるといいのではないでしょうか。「自慢したい」と思ってアップするのかもしれませんが、本当にその欲は満たされていますか?友人の投稿を見て「羨ましい」と思って、また「自慢できる」と思うものをアップする…という無限ループにハマっているのではないでしょうか。

スマホの利用目的と活用方法についてもう一度冷静に考えてみると、別にSNSなんかやらなくていいんだなという結論に行き着くかもしれませんね。
「周囲の見る目」を気にせず、「自分の身の回りにあるもの」に重きを置き、心の余裕が持てるようになってくれば、「糸の切れた凧」になって、スマホに使われる側からスマホを活用する側になれるかもしれませんよ。