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旅行業界の仕事で必要なのは専門知識・スキルと良好な関係を築く人間性

旅行業界の仕事は、営業、手配、ツアー企画(商品造成)、店頭販売、WEB販売、ツアーコンダクター(添乗員)ととても幅広いです。さらに、それらの中で国内と海外、パッケージツアーに団体旅行、スポーツイベントや展示会、会議、フェスなど内容も様々です。

人が動くところ全てが需要になるのが旅行業界であり仕事の幅があまりにも広いため、「旅行好き」なだけでは身につけることができない専門的な知識やスキルがいくつもあります。

さらには、同じ営業所内の人とお客様以外にも社内の各部門の、ホテル、旅館、バスドライバー、バスガイド、シティガイド、バス鉄道航空会社の担当者、弁当業者など多くの人と関わることになるため、スムーズに仕事を進めていけるように全ての人々と良好な関係を築く人間性も重要になってきます。

この記事では、旅行業界で必須の専門スキルとそれを身につける方法、人間性とそれを磨く方法について解説しています。最後までお読みいただければ、今日からどんな自己研鑽を積んでいけばいいのかご理解いただけることでしょう。

旅行業界の専門知識・スキル

旅行業界の専門知識とスキルは大きく4つに分かれます。
よく使う公共交通機関や貸切バスについての知識、観光地や宿泊施設についての知識、そして語学力です。

お客様目線で考えると、知識がない担当者から旅行商品を買いたくはないですし、ツアーの添乗員が、利用する交通機関や訪問箇所についてほとんど知らなかったら、不安になってしまいますよね。
お客様に安心して旅行に行っていただくためや、当日の行程をスムーズに進めるため、団体旅行であれば事前の打ち合わせをスムーズに進めていくために知識は多ければ多いほどいいです。

とても難しく感じるかもしれませんが、旅行業界は未経験で就職する人がほとんどです。最初は先輩についてもらいながらじっくりと知識とスキルを身につけていくことができます。ただし、知識を増やしていくには業務時間外での自発的な学習は必要です。ここからは、具体的にどんな知識が必要で、どのように身につけていけばいいのかを説明します。

各観光地の知識

これが最重要です。
例えば添乗中、1人で団体を連れて行って迷子になってしまったり、見どころを把握していなかったためにお客様に案内できなかったり、お客様からの質問に答えられなかったらお客様を不安にさせてしまいます。
お客様の中には自分に知識や経験がなくて不安で旅行会社に頼っている人もいるのですから、旅行会社の社員が「知らない」では話になりませんよね。

日本国内の主要な温泉地や長年人気の観光スポット、各地の名物のグルメやお土産、歴史、海外の観光地として有名な国や地域の名前、都市の名前と世界遺産などの主要な観光スポットは学んでおく必要があります。

これらを身につけるためには、資格を取ってしまうのが一石二鳥です。これらを身につけながら、旅行業界で役立つ資格を取得できます。

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もっと細かく学ぶ余裕があれば、各都市やエリア内での観光スポットの位置関係なども知っておくといいと思います。
例えば、京都市内であれば京都駅と清水寺、嵐山の位置関係などを把握しておけば、お客様に「清水寺と嵐山は反対の位置にあるので移動に時間がかかりますよ」などとアドバイスできます。お手洗いや売店事情も知っておくと「ここはお手洗いが少ないので必ず駅で済ませてください」「ここには売店や自動販売機がないので、お飲み物は事前に買っておくことをおすすめします」というアドバイスも可能です。

添乗員として同行する際には、行程に含まれている観光スポットの見どころ、どんな施設なのか、そして団体受付の位置、大型バスの駐車場の位置、お手洗いの位置、自動販売機や売店の位置まで確認しておく必要があります。

ホテル・旅館の知識

世界の有名ホテルチェーンの名前、日本国内のビジネスホテルチェーンの名前と特徴は知っておくと役立ちます。ラグジュアリーホテルにはなかなか泊まる機会はないかも知れませんが、知識を持ち、お客様と対等に話せるだけでも十分です。

ホテルや旅館について学ぶ時のポイントは、

①立地(アクセス)
②ビュー(海か街か山か)
③食事(和洋、目玉料理、部屋食かレストラン)
④風呂(温泉か、露天風呂の有無、景色)

この4つを押さえておくと特徴を掴みやすく、この4つから説明すると特徴が伝わりやすいポイントでもあります。
団体旅行の営業としてホテルや旅館を提案する場合には、もう少し細かな特徴も把握しておくと役立ちます。例えば、館内に売店はあるか、大型バスの乗降場所、大浴場の有無と広さ、集合写真を撮るスペースがあるか、その他お客様に役立ちそうな特徴などです。

添乗員として同行する時には上記に加えて、近くのコンビニやドラッグストアの場所、食事会場と大浴場など館内施設の階数と位置関係を把握しておき、スムーズに答えられるようにしておくとお客様の信頼もグッと高まります。

交通機関の知識

都市間の移動

「東京から大阪へ行くにはどうしたらいい?」
このように聞かれたら何と答えますか?

飛行機、新幹線、高速バスあたりが候補になりますが、正解はお客様の自宅の位置と大阪での訪問箇所、あとは好み次第です。蒲田に住んでいる人に成田空港発のLCCは勧めませんし、東京駅にアクセスのいい場所に住んでいて梅田やなんば周辺しか訪れない人には飛行機は勧めません。
大阪の関西空港も伊丹空港も中心部からは離れたところにある一方、新幹線の新大阪駅からは梅田でもなんばでもすぐに着きます。羽田空港や成田空港も郊外にある上、搭乗手続きで時間がかかります。

このような各都市、空港と駅の事情や位置関係を把握していればスムーズにお客様に合った最適な移動手段を提案することができます。
飛行機、新幹線、特急列車など、どこへどんな公共交通機関が伸びているのか、その速さ、安さ、快適さをトータルに把握しておくとスムーズです。

添乗員ならば、駅や空港内の地図を持っておく、あるいは頭に入れておくことが必要になります。
バス駐車場からホームや保安検査場、ホームや到着口からバス駐車場までのルートを把握しておかないと、お客様を誘導することができません。お手洗いや売店の場所も重要です。駅では改札内のお手洗いが少なく売店がない場合もあります。空港でも保安検査を通過してしまうと売店や飲食店が全然ない場合もあります。これらを知っていれば改札通過前にお手洗いタイムやお買い物タイムを取るなどの工夫ができるため、それが添乗員の腕の見せ所です。

また、団体旅行の営業や、添乗をする人ならば貸切バスについての知識も役立ちます。バスにも大型、中型などの種類があり、座席数も決まっています。そのようなバスのタイプを知っておくと、バス会社とのやりとりがスムーズになりますし、お客様との打ち合わせの段階でどんなバスが何台必要かということについて、座席を無駄に余らせたり余計なバス代をかけないような最適な答えが出せるようになります。

バスツアーの場合には高速道路について把握しておくことも大切です。
目的地に行くにはどの高速道路を使うのか、その高速道路の渋滞ポイントと時間帯、よく使うSAやPA、渋滞を避けるにはどのルートが良いか、また、一般道でもバスが通れる道とそうでない道があるため、その場所などが例として挙げられます。渋滞ポイントについては経験がものを言う知識ですので、バス会社に聞いたり、当日ドライバーに聞くのも一つの手段です。

駅や空港のマップはHPにも記載がありますが、現地調達が最もおすすめです。
今いる場所からどのルートを通って新幹線のホームまで行くのかを添乗員同士で打ち合わせるときにも、実際にマップを見ながらできるため、とても有効です。

都市内の移動

「ここ(泊まっている旅館)から金閣寺ってどう行ったらいい?」

これはお客様からよく出る質問です。

各都市によって、バス、地下鉄、路面電車など有効な交通手段は変わります。場所によってはタクシーしかないと言う場合もあるでしょう。

都市内の交通事情や路線図と各観光地の位置関係やアクセスをリンクさせて把握していないと答えるのが難しい質問です。路線図と地図を照らし合わせて覚えるのが一番いい方法だと思います。
交通事情とは具体的には地下鉄やバスの本数、運賃などです。京都市内で紅葉シーズンだと道路渋滞や観光客自体が多いため、バスが時間通りに来ない、満員で乗れないケースもあるため、その旨も事前に伝えた上で、代案として徒歩と地下鉄などを提案できると、“できる”旅行会社社員として見てもらえるでしょう。

ちなみに、今だと“交通系ICカードの使用可否”も覚えておきたいポイントの1つです。近年は地方の路面電車やバスもICカードを使える路線が増えてきました。しかし、未だに現金のみのところもあります。
「京都のバスってSuica使えますか?」「長崎の路面電車はPASMO使えますか?」という質問はよく出てくるため、「乗る時と降りる時の両方タッチですよ」という情報とあわせて伝えられるといいですね。

“ICカードの使用可否”は各社のHPを見れば確認できますよ。
地図も各地の観光協会のHPや鉄道、バス会社、宿泊施設などのHPからダウンロードできる場合が多いです。できなかった場合には、現地で観光案内所や駅、空港、主な観光地、宿泊施設などで入手しましょう。

敬語と英語

「海外旅行の添乗でも、英語を使う場面よりも日本語でお客様と話す機会の方が圧倒的に多い。だから英語よりまずは敬語」

これは、海外のパッケージツアーを主に担当しているある海外添乗員の言葉です。
旅行会社に入ると英語が必要というイメージを持つ人が多いですが、日本国内の営業所に配属になっている限りは日本語を使っている時間が圧倒的に長いです。たしかに、海外添乗でも英語を使う場面は空港、ホテル、レストラン、ドライバーとの会話、たまに来る日本語を話せないガイドとの会話程度で、とても限られています。
営業や企画として海外ツアーを作る時でも、現地のランドオペレーターと日本語でやりとりし、現地の手配などは全部任せるので、一部の英語で書かれた書類があるだけであとは日本語です。

だから、新社会人になる人がまず身につけるべきは英語よりも正しい日本語、敬語なのです。

スケジュール管理スキル

旅行業界の仕事は時間を味方につけなければかなり難しいです。

営業や企画部門に入ると、いくつものツアーが同時並行で進み、それぞれに優先順位をつけて行かなければなりません。営業だと打ち合わせと企画書作成(入札)、新規営業という異なる仕事を同時に進めていくことになります。

添乗員の場合も、「ここに○時に到着しなければならない、今は△時、ここから移動するのに×時間かかるし渋滞の可能性もある、だからここの観光は10分短くしよう」というように、時間の計算を瞬時にしなければなりません。ちなみに、添乗員のこのような時間管理の業務を“旅程管理”といい、正式名称を「旅程管理者」という添乗員のメインの業務です。

このように、普段から時間を意識した行動、優先順位をつける力、時間管理術、効率よく仕事をする力、先を読む力、逆算して考える力が必要になります。

良好な人間関係を生む人間性

1つの旅行を完成させるまでには、社内の多くの部門の人々の力を借り、バスやホテルなどの関係機関の力を借りてようやくお客様にお届けできます。

よって、全ての人々に気持ちよく働いてもらうような良好な人間関係を築いていくスキルが重要ですが、最も大切なのは、ツアーに参加したお客様に満足していただくことです。
旅行販売担当、添乗員など直接お客様と接する人は特に、お客様とも良好な関係を築くことが求められます。

ここからは、そのために必要なスキルについての解説です。
対人関係スキルは、簡単に身につくものではなく、たくさんの経験を積んでじっくりと鍛えていくことになるでしょう。

聴く力と話す力

営業、販売、添乗のどの業務でも基本スタンスは“お客様のニーズを把握し、それに応えること”です。
ニーズを把握するために必要なフェーズが“聴く”であり、自分がやりたいサービスをやりたいようにやっているだけでは、お客様は喜んでくださいません。良かれと思って行ったサービスがかえってお客様の不満を生んでしまうのはここに原因があります。

お客様の言葉1つ1つに丁寧に耳を傾け、質問し、瞬時に最適なアイデアを提案する力が必要になります。
ある程度の業務経験がないと厳しい部分でもありますが、「お客様はどんなことを求めているのだろうか?」と常に考えながら接しているだけでも変わってきます。

また、“聴く”“話す”にはスキルもあります。詳しくは専門書に譲りたいところですが、お客様は自分の要望をとにかく聴いてほしいものだと思って構えているだけで、業務に余裕が生まれますし、あらゆる状況に対処できるようになるでしょう。

ホスピタリティ

次に大切なのがホスピタリティです。すなわち、おもてなしの心ですね。
旅行会社はどこも同じような価格で同じようなツアーを企画し、同じようなサービスを行っているのが現実です。
そこで営業マンや店頭の販売員、添乗員など、たまたまそのお客様が接した社員の人柄がその会社を選ぶ理由であったり、リピーターになる理由になることが多いです。

ホスピタリティが大切なのは関係機関の方々に対しても同様です。関係機関の方々とは1年中、長年に渡って一緒にツアーを作っていくことになりますので、彼らに対して丁寧に接していくことが必要になります。そのおかげで彼らと一緒にお客様に喜んでいただけるようなツアーを作っていくことができます。

会社に入ると、利益を追求していかなければならないために忘れがちなところですが、“どんな思いで周囲の人に接しているか”が最も大切です。
誰に対してもおもてなしの心を忘れずに、1人1人と丁寧に接していくことがいい過程と結果を生みます。

情報処理能力と決断力

最後に、情報処理能力と決断力です。これは、現状を把握し、最適な選択をする力と言えます。

添乗中を中心に、旅行の仕事は想定外の事態に瞬時に対応しなければならないケースが多発します。
例えば、営業職であればお客様と打ち合わせを重ねてきたツアーが外部要因で取消や方面を変更せざるを得ないですとか、添乗中であれば交通渋滞や飛行機の遅延、欠航などさまざまなトラブルが発生します。

これら1つ1つのケースについて正確に情報収集し、瞬時に最適な決断を下す力が必要です。
「どうしよう…」と旅行会社の社員が困り、焦っていてはお客様を不安にさせるだけですし、ツアーも前に進んでいきません。

これについては経験値も大きく影響しますが、天候や災害、渋滞など先が読めないものが原因で予定が狂わされることも多く、その場合は結果論でしかありません。結果的に判断が間違っていたとしても、いつまでもグズグズ決断できないよりはマシです。
そのため、“集めた情報を基に瞬時に決断すること”が最も重要です。普段から即断即決を意識して癖をつけておくといいでしょう。

知識とスキルはやりがいのもと

ここまでお読みいただいているということは、真剣に旅行業界を目指しているか、旅行業界でさらにスキルアップしていきたいと本気で考えている方でしょう。

正直、これらの知識やスキルがなくても、仕事自体はできます。ただ、それなりのクオリティになるだけです。
自己研鑽を怠っていると、お客様をスムーズに案内できない、旅行相談をされてもいい回答ができないという状況のまま抜け出すことができません。そうすると、お客様からは不満の声が聞かれることになり、社内でも仕事を任せてもらえなくなるなど、どんどん悪い状況に陥っていきます。これではやりがいも楽しさもありませんよね。

たくさん知識を身につけたことによってお客様と楽しく会話ができたり、添乗員としてスムーズに案内ができた時に、私はやりがいを感じます。「たくさん準備して、勉強してよかったな」と、努力が報われる思いです。
このように、努力の結果としてうまく仕事が進むと楽しいですし、「次も頑張ろう!」と前向きな気分になれます。

誰だってやるからには楽しく仕事をしたいはずで、そのための努力は必要です。「努力」というと厳しく聞こえるかもしれませんが、その結果として私は楽しく仕事ができています。

しっかりと勉強して、経験を積み、知識とスキルを積み重ね続けてお客様も自分も幸せになれるような仕事をしていきましょう!
そのために必要なツールは資格と読書です。詳しくは以下の記事を参考にしてくださいね。

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